文藝誌「灑」

文藝誌「灑」について

灑灑さいさいと夜の輪郭をうるほせる雨音聞こゆ眠りのあひ

菅原百合絵「レテ河の舟」(『たましひの薄衣』書肆侃侃房)

「灑(さい)」とは、「そそぐ」「きよらか」「ながれてたえないさま」などの意味を表すことばです。

ことばについた手垢をそそぐ過程が詩歌を書く一側面であると感ずること、とどこおらず読むたびに新鮮な感覚を持てる文藝誌にしたいという願い、加えて「麗」にさんずいがつくという文字自体のうつくしさと合わせて、この命名としました。

この「灑」という語に出会ったのは、寄稿者のひとりである菅原百合絵さんの歌集『たましひの薄衣』のなかにおさめられた歌を読んだときでした。

無防備で、贅沢な文藝誌を目指して。

赤澤玉奈
板見谷諒汰
小縞山いう
菅原百合絵
関根健人
成田凜
花氷
広橋山羊
砌アイコ
峯澤典子

主宰が憧れを持つ、8名の詩人と1名の歌人にそれぞれお声がけをして寄稿をしていただきました。皆さん長く時間をかけて、この「灑」に向きあってくださいました。 寄稿する内容については自由とし、長さなどもとくに制限を設けませんでした。ただ、不思議なことに、共鳴し重なりあうような作品たちが集まりました。

どこかクラシカルで、でも新しい。それぞれの作品が自律しながらも、影響を及ぼし合うような文藝誌になったと思います。

「灑」の寄稿作品に一貫して見られるのが、ことばへの「真摯さ」「誠実さ」です。
詩歌にふれてきた年数も、活躍する場所も、もちろん志向する詩歌の形式も違う寄稿者たちの作品が、一冊のなかで交わることで「灑」はふくらみのある〈辻〉になっていると感じます。

装幀・製本について

寄稿者の皆さんの詩歌を損ねないように、しっかりとした”器”をつくらなければという思いがありました。極力邪魔をせず、それぞれの詩歌が伸びやかに息をできるような、そんな本を望みました。

“憧れ”に本というかたちを与えてくれたのは、高知県にある印刷会社の有限会社西村謄写堂さん。 細かなオーダーにも丁寧に対応してくださいました。

表装と見返しについて

上製本の表装は「ポルカ ソーダ」、見返しは「羊皮紙」を使用しています。株式会社竹尾さんの店舗で選んだ用紙です。「灑」という語の水のイメージから、ティファニーブルーを意識して、碧みががった水色を選びました。

空押しと題箋について

表紙絵の部分は「題箋」という、写真集などでよく見られる手法です。 上製本のボール紙を表装のうえから空押しで凹ませ、別に印刷した紙を貼り付けています。一冊ずつ、西村謄写堂さんに手作業でやっていただいています。

箔押しについて

箔押しは銀色ではなく「フレッシュウォーター」という清潔な水色の箔を採用。 背表紙の題は、本棚に並べたときに読みやすいフォントに。表紙の題は、表紙絵になじむよう手書き文字になっています。

表紙絵・扉絵について

この本に表情を与えてくれたのは、ふだんから植物や鳥に心を寄せている冬野さんの表紙絵・扉絵。 濃やかな配慮のもと、寄稿された作品を読んで描いてくださいました。かたちは違えども「灑」を支えるもうひとつの詩歌です。

本文(フォント)について

本文のフォントは字游工房さんの『文游明朝体S 朝靄かな StdN R』を使っています。 「朝靄かな」は、詩を組むことを想定してつくられたもの。クラシカルな詩歌集を意識しながら、大きめの文字でゆったりと組みました。

購入について

BOOTHはこちらから

文藝誌「灑」(ぶんげいし さい)

上製本/A5変型版/140ページ/2,200円

【寄稿者】赤澤玉奈、板見谷諒汰、小縞山いう、菅原百合絵、 関根健人、成田凜、花氷、広橋山羊 、砌アイコ、峯澤典子

【表紙絵・扉絵】冬野

発行者: 文藝誌「灑」編集部
印刷所: 有限会社西村謄写堂
発行日: 2025年5月1日 初版第一刷

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!