峯澤典子「螢」「Villa」を読む――川端康成「反橋」連作を補助線として

本稿においては、敬称略とさせていただきます。あらかじめご承知おきください。

川端康成の諸作品や『源氏物語』について書かれた箇所は、先行研究の引用等を割愛して書かれておりますが、筆者独自の見解ではなく、今日における一般的見解の範疇としてご理解ください。

なお「反橋」連作は、現在『反橋|しぐれ|たまゆら』(講談社文芸文庫)で読むことができ、巻中の竹西寛子氏「解説」、原善氏「作家案内」において詳しく論じられております。

はじめに

髙塚謙太郎と峯澤典子の二人誌「アンリエット」のNo.2「窓と罪」(以下、「窓と罪」)が刊行された。

デザインは片桐寿子。表紙に写真が配されていた前号とは変わって、色のイメージを留めながらも、今回は円を主軸とした幾何学的なデザインになっている。表紙の紙は、胡粉や螺鈿を思わせる綺羅きらとした風合い。また、アンリエットのロゴも新調され、雪の結晶(あるいは波濤のようにも見える)がさりげなく描き込まれているのも粋である。

今号においては、髙塚謙太郎の論考と散文、峯澤典子の詩篇が収められている。前号同様に、それぞれの作品には作者名が附されておらず、巻末の目次によってのみ確認することができる。両者の息づかいが重なりまた離れて、そういう行きつ戻りつのなかで、詩誌は静けさのうちに進行していく。

今回はそんな「窓と罪」のなかから、峯澤典子の詩篇「螢」「Villa」を中心にして、いくつか詩を見ていきたいと考えている。

前提として

実際に作品を見ていく前に、いくつか前提を共有しておきたい。

本稿においては、補助線として川端康成の「反橋」連作および「みずうみ」を使用する。これは、峯澤の詩が自律していない、ということではない。筆者は、詩の味わい方は自由であり、様々な楽しみがあると考えている。今回は川端康成の小説を添え木にすることで、またなにかちがったものが見えてくるか、ということを考えたい。

次に、本稿は詩の読解における“正解”を提示するものではない、ということだ。
あくまで、読み方の可能性(の一つ)を提示したいという考えで執筆するものである。


以上のことを踏まえたうえで、実際の作品に触れてみよう。

なお、「窓と罪」を未読の方で、所謂“ネタバレ”をされたくないという方は、ここで一旦ブラウザバックする(戻る)ことをお勧めします。

詩誌「アンリエット」「窓と罪」はこちらからご購入できます。
※BOOTHのサイトに飛びます。

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